新しい片頭痛治療薬:レイボー錠(セロトニン1F受容体作働薬)

セロトニン 1F 受容体への選択性を有する、世界初のジタン系片頭痛治療剤

2022年6月8日、レイボー錠が発売されました。

薬価 50mg錠 324.7円、100mg錠570.9円 です。

尚、昨年の4月発売されたエムガルティは片頭痛の予防薬で、レイボー錠は治療薬です。

脳梗塞や心筋梗塞など、トリプタンを服用できない片頭痛の方でも服用可能です。

レイボー®錠は、イーライリリー・アンド・カンパニーにより片頭痛発作の急性期治療薬として開発された、世界初の低分子の選択的セロトニン1F受容体作動薬です。片頭痛の病態には、中枢での疼痛シグナル伝達、及び末梢での三叉神経系の過活動が関係しており、セロトニン1F受容体が視床、大脳皮質、三叉神経系の神経細胞やシナプスに発現していることから(下図e)、セロトニン1F受容体の片頭痛の病態への関連性が指摘されてきました。本剤は、血液脳関門通過性を有し、セロトニン1F受容体に選択的に結合することにより、中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質[カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸など]の放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を示すことが期待されています。片頭痛の急性期治療薬として2019年11月、米国において承認を取得し、患者さんに提供されています。

 

  • レイボーの作用のイメージ:CGRPの放出を阻害する

引用:Lasmiditan mechanism of action – review of a selective 5-HT(1F) agonist. Clemow DB,et al. J Headache Pain. 2020 Jun 10;21(1):71. 

  • セロトニン1F受容体のへ発現部位と選択的に受容体作働するLasmiditan

 

トリプタン製剤は血管内皮細胞5-HT1B受容体を刺激して血管が収縮するため、脳梗塞や心筋梗塞、血管狭窄がある方には禁忌でしたが、このレイボーは5-HT1B受容体への作用がほぼ無いため、今までトリプタンが使えなかった方にも使える頭痛治療薬ではないかと期待しています。

用法用量:通常、成人にはラスミジタンとして1回100 mgを片頭痛発作時に経口投与する。
ただし、患者の状態に応じて50 mg又は200 mgを投与することができる。頭痛の消失後に再発した片頭痛発作に対し、本剤を再投与することができるが、24時間以内の総投与量は200 mg以内とすること。

副作用は以下の通りです。
初回服用時にはめまいが生じないか、御自宅で過ごした方が良いとも思います。

副作用の詳細:初回服用ではめまいが生じることがあり、夕方以降に服用して副作用の確認してから、日中の使用が望ましいと思います。


参考資料:
 レイボー錠 プレスリリース
 レイボー錠 パンフレット